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掲載日2002/7/19 ルビコンを渡る前に


 政府の英断がない限り、住基ネットは8月5日から稼動されます。そしてシーザーが大決心をして渡ったルビコン川のように、住基ネットの稼動は、国民にとって「国民総背番号」社会へのルビコン川となるかもしれません。

 私は、IT社会や電子自治体づくりに反対しているのではありませんし、IT社会では個人番号が不可欠であることも理解しています。しかし、なぜ生まれたての赤ちゃんからお年寄りまでの全国民に、強制的に11桁の通し番号をつける必要があるのでしょうか?「どこでも住民票がとれる」といったサービスを受けたい人が、個人番号を申請し取得すれば済むことだと思うのです。

 「強制的な通し番号」は、「国民総背番号制」への道程です。塩川財務相は「いずれ納税者番号や年金番号などの統一化が望ましい」と答弁しており、国は今回の住基番号を国民共通番号化する研究を進めています。確かに単一の国民番号になれば、図書館で本を借り、病院で治療を受け、納税をすることなどを一枚のカードでできて便利です。しかし一方その番号を通じて、借りた本やかかった病気などの個人情報を名寄せされる危険性も高まるのです。例の防衛庁の情報公開請求者リストみたいなものは、容易に作成できるでしょう。

 私は、便利さだけに目を奪われて、失う可能性のあるものから目をそらしてはならないと思います。だから確固とした個人情報保護の制度が未整備のまま、住基ネットを稼動してはならないし、まして個人情報保護法が未成立の中での稼動は、住基法違反と考えます。また個人番号の取得は強制ではなく任意とすべきだし、さらに将来は単一の個人番号ではなく、納税や医療など目的別の複数番号制をめざすことなど、健全なIT社会となるため、「ルビコン川」を渡る前に固めておくべき決意があるはずです。