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掲載日2004/04/01 なぜ住基ネット訴訟か

    この度杉並区は、国と都に対し住基ネットに関する訴訟を提起することを決め、議案を区議会に提案しています。その内容は、簡単に言えば「杉並区にも横浜市と同様に、『横浜方式』、つまり段階的参加方式を認めるべき」というものです。

 住基ネットについて、杉並区は一貫して「法の範囲内で、できる限り個人情報保護を図る」という姿勢を貫いてきました。一昨年の稼働時には、「国は住基法に定める個人情報保護のための法整備を行わず稼働した」として、住民情報を守る義務のある区長として不参加の決定をしました。そして、昨年5月の個人情報保護法等の成立を受け、不十分さはあるものの、これらの法の成立により住基ネットへの参加義務が生じたとして、6月には『横浜方式』で参加する旨表明し、関連予算は6月の区議会で承認され、10月に住民コードの送付と希望調査を実施いたしました。

 『横浜方式』とは、昨年の4月に国、県、そして横浜市で合意された参加方式で、まずは不参加希望の約八五万人を除いた住民情報を送り、その後総合的に安全確認ができた時点で、速やかに全員情報を送るという「全員参加を前提とした具体的手順についての取り決め」であり、国が正式に認め、横浜市が現に実施している制度です。またこの方式は、いまだ不安感が残る住基ネットへの参加手順としては、ひとつのベターな方法でもあります。

 しかし、昨年の6月以来、区は国や都と何度となく交渉してきましたが、「『横浜方式』による参加は認めない」という国の主張と、「同じ住基法の下で、なぜ横浜に認められ杉並には認められないのか」という『法の下の平等』を求める区の主張との溝は埋まらず、その法解釈の溝を埋め早期に決着を図るためにも、司法という第三者の判断を仰ぐことにしたのです。

 私はかねてより、全員参加を強制する住基ネットに対しては賛成ではありませんが、法が全員参加を定めている以上、行政官として法には当然従わなければなりません。しかし、住民基本台帳事務というのは、区市町村事務の心臓部に当たる自治事務の最たるものです。つまり、区が自己責任で行うべき根幹の仕事なのです。自治事務なら、法が住基ネットへの全員参加を規定しても、その参加の手順くらいは、本来各自治体の責任に任せるべきでしょう。それが自治というものではないでしょうか。まして横浜には認めているのですから。

 議案は継続審査になりましたが、今回の訴訟提起は、『法の下の平等』や『自治』といった観点で、杉並区のみならず、これからの日本にとっても大きな問題をはらんでいるものと考えています。多くの区民の皆さまのご理解をお願いいたします。