緑が鮮やかに映る季節になりました。ただ最近は、次々と姿を消す地域の屋敷林に心を痛める声が多く寄せられるようにもなりました。屋敷林が姿を消す主な要因は、所有者(相続人)にかかる高い相続税の支払いのためですが、国への現物(土地)納付の場合でも、樹木を全て切って更地にしなければならないのです。
さて区の緑被率は、昭和47年(1972)の24%から平成9年(1997)の17・6%と減少し続けたものの、公園の増加や緑化活動の成果で、確かに平成14年(2002)には21%と回復しました。一方、樹林地の減少はとどまることを知らず、その最大の原因は屋敷林の減少によるものです。
杉並区はその名の通り、かつては樹林が地域の風景でもありました。その風景も「今は昔」の感は否めませんが、今日残されている樹林地も64%は屋敷林であり、次いで公園林が15%、神社やお寺の林が6%の順で、屋敷林がいかに杉並の環境や風景に重要な役割を果たしているかがわかります。屋敷林をいかに守っていくか。これは将来の杉並区にとってきわめて大切な課題であると考えています。
そのために区としても、当然さまざまな施策を検討しなければなりませんが、このことは何よりも私は、所有者の方の理解と協力を得て残せるよう、屋敷林の果たす国土保全の面での重要性に焦点を当てた相続税や固定資産税などの新たな税の減免制度の創設を、国や都に強く働きかけていくことが不可欠と思います。今後、区民の皆さんや同じ思いをもつ他の自治体とも共同で取り組んでいきたいテーマです。
残念ながら、最近は「百年の計」という言葉が聞かれなくなりました。しかし、杉並区の樹林地の3分の2を占める屋敷林が消滅した日を想像してみると、「屋敷林を守れるか」は、まさに杉並区の「百年の計」に関わる問題と考えます。 |