6月から9月までの全国的なクールビズの季節は、「学校のすべての教室にクーラーを」という要望をいただく時期でもあります。杉並区としては、なるべくクーラーに頼らず、自然と共生する工夫をして夏を乗り切ることも教育の一つという考えのもと、全教室に扇風機と各学校に冷水器を設置していますが、23区の多くがクーラー設置に踏みきる中、独自の道を歩もうとしています。
確かにクーラーを設置してしまえば話は早いのですが、ここは一寸立ち止まって考えてみる必要があります。まず子どもたちには夏休みがあるので、1年のうちでクーラーが必要なほど暑い日は1、2週間です。
一方そのための設置費用は、1校あたり平均約4,000万円かかり、区内全小中学校67校では約30億円。電気代なども加えるとコストは扇風機の10倍以上です。23区で設置区が多いと言っても、お隣の武蔵野市をはじめ都内26市では、基地のある3市を除いて例がないのみならず、全国的にも沖縄を含め全学校全教室にクーラーを設置している自治体はほとんどありません。
教育の目的は、子どもの「生きる力」を育むことにあります。そしてこの「生きる力」は、困難に直面した時にそれを乗り越えようと工夫し、楽しみ、耐え、協力し合う中ではじめて獲得できるものだと思います。快適な学習環境は大切ですが、私たち大人は時にあえて「不便・不自由・不親切」な環境を、子どもたちのためにつくってあげる見識も必要だと思うのです。
もちろんそれに伴って私たちにも、共に考え乗り切る責任も生じます。子どもと大人、そして学校が一緒になって、「どうしたら少しでも涼しく過ごせるか」を柔軟に考え、校庭や屋上、また壁面の緑化を徹底したり、水を飲みながらの授業を認めたり、夏休みを増やしその分春休みを削るなど、工夫と努力の余地はまだまだあるはずです。さらに学校改築の際には風の通りやすい構造や外断熱方式を採用するなども含め、クーラー設置を考える前に、区としても「風と緑の学校づくり」の取り組みを全面的に後押ししていきたいと思います。
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