杉並区の成人式は、媚びず奇をてらわず、国歌斉唱から始まる伝統的な式典です。そして、今年も清々粛々と新成人たちの新しい門出を祝うことができ、これも杉並区の優れた「区風」と誇りに思っています。
さて、式典で私が毎年欠かさずお話ししていることは、「成人式」とは、新成人にとって自分を産み育ててくれた親、先生、そして社会への「感謝の日」でもあるということです。そして、過去の戦争で尊いいのちを犠牲にした同世代の人たちの遺書にも触れつつ、彼らの尊い犠牲の上に、今の豊かで平和な日本があるのだということを新成人の皆さんにぜひ知ってほしいと思うのです。加えて食品の偽装など「偽」という文字が1年を象徴すると言われた昨年を踏まえ、今年の成人式では、「本物」とは何かと問いかけました。
「神の家を造るときは、材木のほぞなど見えないところまで全て磨き上げますす」。これは伊勢神宮の宮大工として長年務められたある総棟梁の言葉です。つまり人間の目はごまかせるが神の目はごまかせないという、まさに「見えないところまで磨き上げる」「人の見えないところにまで力を注ぐ」のが本物の仕事、「人が見ていなければ何をしてもいい」「ばれなければ、豚肉を牛肉として売ってもいい」という生き方が偽物ではないかと述べ、新成人には、こんな時代だからこそ「本物の生き方を実践して、幸せをつかんでほしい」と話を結びました。
わずかな私語がなかったわけではありませんでしたが、静かにうなずきながら聴いていた大多数の新成人の姿勢は、とても立派でした。新成人の輝かしい前途と、杉並区と日本の行く末が幸せ多きものとなりますようにと祈らずにはいられない、気持ちのいい成人式でした。
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