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山田宏 東京都杉並区長インタビュー

自治体の自主課税 日本の発展は自治体から

鈴木寛 参議院議員きょうは地方自治体が独自に自主課税をしていくことについて、山田区長のお孝えを伺いたいと思います。
 杉並区では「レジ袋税」が大変に話題になりました。まずは「レジ袋税」をどうして思い立って、以後どういう経過になっているのか、というところからお話をいただければと思います。


レジ袋は不燃ゴミ

山田宏 杉並区長 : 杉並での法定外目的税である「レジ袋税」ですが、そのきっかけになったのは平成12年の「地方分権一括法」で、各地方自治体は地方税法上の法定外の税を創設することができるということになりました。それは昔もできたのですが、当時の自治省の「許可」がいりました。今度は地方分権一括法によって総務省の「同意」で済むことになって、基本的には各地方自治体が独自にできるようになったということから、税を検討しました。杉並区でどういう税が考えられるかというのを考えようということで、当初は歳入策として考えたわけです。例えば自動販売機とか風俗店とかいろいろ考えたわけです。ところが、歳入策としてはだめなんです。なぜだめかというと、課税対象がほかの税と重なってはいけない。つまり二重に税を取ってはいけないということで、探しても、もう課税対象としてあいているところがない。すき間産業みたいになっちゃう(笑)。

 実は、この税の問題と並行して当時「杉並病」ということが言われていました。杉並区にある不燃ゴミの積み替え基地を中心に生じていた健康被害の問題があった。原因は不明だったけれども、その施設が原因であることは間違いないということで、その施設自体を廃止していこうと考えていた。廃止していくためには不燃ゴミの量そのものを減らさなければいけない。不燃ゴミの量を減らすにはどうしたらいいかというので、この税とは全然関係なく、不燃ゴミの組成調査をしていたわけです。ゴミをばらして何が入っているかを調べたうえで、どう減らしていくか、計画を立てようとしていた。

 そのときに、あ、そうだ、不燃ゴミの中にレジ袋も入っている。レジ袋はゴミ袋になったりしてゴミを増やすことに貢献している。レジ袋は本当は生活必需品ではなくて、昔は買い物袋を持っていった。「手で持って帰ればいいよね」「ヨーロッパのほとんどの国でもああいうものは有料だよね」、そういう議論になっていって、そうしたらレジ袋に税をかけて、袋をもらう人は税を払う、環境コストを払ってもらおう、税を払いたくない人はもらわないでいい。レジ袋の使用を滅らすための手段の一つとして税という方法を考えたんです。だから、税収が目的ではなくて、レジ袋を減らす政策として、環境税の一つとして俎上に上ってきたわけです。


鈴木 : それは区役所内でのご議論ですか。

山田 : そうです。僕のアイデアではなくて、区役所の職員の中のアイデアです。

鈴木 : それで、いざ区議会に提案をされました。少しにぎやかな感じになって。



徹底した話し合いで説得

山田 : ええ、大変でした。平成12年3月に税の研究会ができて、これは内部の職員の研究会ですが、報告が上がったのが9月です。そのなかでレジ袋税がいいだろう、杉並環境目的税がいいだろうということで上がってきて、それを発表したわけです。新聞でも、こんな税が上がったというので報道されたわけです。

 まあ、そこからハチの巣を叩いたような大騒ぎになりまして、まず議会が「おかしい」。二つ目は商店街等が反対。もちろんスーパーマーケット、コンビニも反対。消費者の中でも「ゴミ袋に使われて有効利用されているから、税をかけるなんてけしからん」とか「区はそんな税をかける前にもっと行革しろ」、そういう意見がダーッとあったので、専門家の委員会をつくって、この税は本当に適切かどうか、可能性があるのかどうかを一年にわたって中条潮先生(慶應大学商学部教授)を中心にやってもらったわけです。

 その結果、こういう税も一つの考え得る手段だという報告を受けたうえで、翌年の平成12年10月の議会に提案をしました。ところが、商店会も結構硬化していて、商店会に納得してもらわなければいけないということで、杉商連(杉並区商店会連合会)の役員の方々に集まってもらって、杉並産業商工会館に僕も行って約三時間話し合いをしました。参加者は80人ぐらいでした。まず、反対の理由は、一つは区境で、「杉並で五円取れば、杉並からお客さんは離れる」「きょうまでサービスで配っていた袋なのに、あしたから五円くれなんて言えるわけがない。商売というのは信頼関係に基づいてやっているんだ」「不況時にこんな税をかけて、より一層不況を加速する」とか、いろいろなご意見があった。それぞれ理屈としてはよく分かることでした。

 私は「皆さんの言うことはたしかにそうだと思うけれども、土の中で分解しないプラスチック袋をただで配り続けることが、本当にこれからの時代に正しいやり方ですか。考えてください。確信を持って正しいやり方だと思う人はいらっしゃいますか」と言ったら、シーンとなる。みんな分かっている。それはなるべくやめたほうがいい、昔は買い物袋を持っていったし、そのほうが環境にやさしい。「レジ袋を減らすことには賛成ですよね」、それはいいと。「じゃあ、あとは手段ですよね。税の方法がいけないのか」。

鈴木 : 施行はいつからになるのでしょうか。


2割も減ったレジ袋

山田 : ことしの3月19日の議会で可決されて、施行日は書いてないわけです。議会との約束、杉商連との約束は、区全体でレジ袋削減目標を定めて、それを達成したかどうかを見きわめて施行日を決めるということにしました。レジ袋いりませんという人の割合を五年間で買い物客の中の六割にしよう。とりあえず一年間で二割を目標にしたわけです。ところが、ことしの七月に今どれぐらいのレジ袋拒否率があるか、七万人ぐらいのお客様を対象とした大がかりな調査をしたんです。その調査緒果を見たら、杉並区の拒否率は24%だった。