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それいけ!杉並

世界に誇れる"アニメの杜"を目指して

出典:DVDレビュー/Let's Go JAPAN!!

東京の西側に位置する杉並区には、アニメスタジオが70社も密集している世界有数の地。今、杉並区は、「杉並アニメ振興協議会」と協力を図り、この街を世界に誇れる"アニメの杜"にしようとしているのだ。


アニメ業界における大きな動き
 世界で一番のアニメスタジオのメッカ。それが東京の西側にある杉並区だ。広範囲に考えれば、ジブリ美術館のある三鷹から、「まんだらけ」の発祥の地である中野までの全体が"アニメの杜"と言えるかもしれない。この三鷹と中野の間に位置する西荻窪、荻窪、阿佐ヶ谷、高円寺が杉並区である。(中略)

 またアニメスタジオだけでなく漫画家の数も多い。三鷹〜中野を走る電車は中央線。そう、気が付いたら、この中央線沿線は芸術肌の者たちが集う街になっていた。

 中央線が走る街は、昔から居心地が良かった。古本屋の数が多く、資料集めも簡単にできる。二本立ての映画館で映画を見た後に、珈琲一杯でクラシックを聞き、画材屋に立ち寄って帰る。貧乏な漫画家にとっては風呂無しの四畳半アパートでも十分だった。60年代には「ガロ」の作家たちが住みつき、コミック誌の出版社が数多く建った。さらにその昔。40〜50年代にこの地に社屋を構えていた「東京ムービー」によって、オバケのQ太郎、天才バカボン、星飛雄馬、ルパン三世が誕生した。サンライズの「機動戦士ガンダム」やマッドハウスの「火の鳥」もそれは阿佐ヶ谷の地で生まれたのだ。

 日本には400余りのアニメスタジオがあるが、その内の70社近くが杉並区に存在し、現在もアニメを作り続けている。だが、アニメ業界の実体は厳しい面もある。一番の理由は低賃金であることだろう。フィルムに著作権がないことが問題だという。もちろん名の知れたアニメーターはそうではないだろうが、それはほんの一握りの数といっていい。今や、日本のアニメは世界に輸出する大きなビジネスに成長したが、現実はまだまだ厳しい状況なのだ。

 この状況を打破し、また地場産業としてアニメの街を育てるために、「杉並アニメ振興協議会」が発足した。2000年、全国から希望者を募り、アニメーターとしての技術を学ぶ「杉並アニメ匠塾」を開講。そして今年の3月、「杉並アニメーションミュージアム」を開館した。ちなみにこのミュージアムの館長の鈴木伸一さんは、「オバケのQ太郎」に登場する"ラーメン好きの小池さん"のモデルでもある。

 このように杉並区は真剣にこの街を"世界に誇るアニメの杜"にしようと動き出している。


SPECIAL INTERVIEW 山田杉並区長
"杉並をアニメの街として全国に発信する"その思いを語っていただきました。熱く真剣に語っていただいた区長の姿に杉並区は間違いなくイイ街になると実感!


__杉並区をアニメの街にしようとお考えになった経緯は?

 私は平成11年に就任したのですが、その翌年の平成12年に産業振興計画を立てるとなった時に、普通は「商店街の活性化を図る」といった意見が出るんですけども、私は「せっかく杉並には50万人もの人口がいるんだから、杉並らしい産業が必ずあるんじゃないか」と思ったんですね。その頃、渋谷区など幾つかの区はIT産業を中心にした振興計画をたてていたんだけど。で、杉並区はどうしようかと色々考えていた。私は区長になる前は国会議員だったんですけど、後援会の方々の中に、アニメの制作会社の社長がいたんですが、その方が、「杉並区にはアニメの制作会社の数がとても多い」と言っていたのを思い出したんです。そして、区の会議の時に、調べてみたら?と言ったんです。そうしたら全国にあるアニメ制作会社の8割がまず東京にあることが分かって、その中で一番杉並区にあることが分かって、「すごいじゃないか!」と。これは杉並区の地場産業として力を入れていかなければいけないんじゃないかと。

 そしてまず、急いで平成13年に「アニメーションフェスティバル」という催しを行いました。それが実質的なスタートです。その「アニメーションフェスティバル」を行った年に、「杉並アニメ振興協議会」を作り、実際にアニメの制作会社で働いている方々と協力して、区のほうもアニメについて勉強しながらやってきました。


__今年の春、「杉並アニメーションミュージアム」が開館したりとその活動は続いていますが、今後はどのような展開をしていくお考えですか?

  杉並区の一番の強みというのは、この地場の制作会社が集積しているということだと思います。それを区がバックアップしていく。例えば、設備的なものの共有を図ったりするなどです。ただ、そうした現場の制作と同時に、アカデミズムとしてのアニメという点も考えていきたいと思っているんです。つまり、学問としてのアニメーション、資料の研究、そうしたものを通じて産業として形に変えていく。ですので「杉並アニメーションミュージアム」の設立は、資料の散逸の防止の目的もあります。アニメを単なる作業や技術という視点だけで捉えるのではなく、この街でアニメーターとしてやっていきたい人を長い目でバックアップしていきたいということです。

 そして、杉並のアニメを地域の活性化に結びつけていくこと。アニメと小学校、アニメと商店街など、すべてをアニメーションと結びつけていく。今年は、杉並区公式アニメキャラクターというのを全国から募集して、決めたいと思っているんです。杉並区の区民賞にもそのキャラクターが、商店街の商品券にもそのキャラクターが載っていると、そうした活動でさらに杉並区がアニメの街だということを全国に発信していきたいと思っています。


__この春、杉並アニメ振興協議会が2年前に作られた「サヨナラ、みどりが池」がDVDで発売されることになりました。これについての感想をお聞かせ下さい。

 素晴らしいアニメですね。作品の内容だけでなく、作られた方々の志の素晴らしいアニメです。環境をひとつのテーマにして、ストーリーも子どもたちにも分かりやすくて多くの人に観てもらいたい作品です。できればですね、テレビで放送されればですね、すぐ認知されて人気も出るんでしょうけども、なかなか新しいものには注目されなかったり、予算の面でも厳しいところがあったりするんですが、今回、私の好きなサザンオールスターズが所属するアミューズさんが(笑)、こうしたDVDというメディアで場を与えてくれたことにとても感謝しています。


__それでは、区長にとって杉並区はどんな街でしょうか?

 その質問が一番難しいんだなぁ(笑)。杉並区というのは新しい文化が湧き出てくる街と言えるんじゃないでしょうか。新しい文化や新しいルール。すなわち、杉並文化に杉並ルールです。それが今までの歴史だったと思います。文学の世界でも、太宰治や井伏鱒二を始めとした作家たちがいたからこそ、それがアニメに繋がっているんだと思います。これからは、アニメの街。杉並と聞かれれば、アニメの街でしょ?と答えられるような街にしたいと思っています。


__最後に。区長はどんな映画がお好きでしょうか?

 映画は好きですね。本当に好きなものは何かと聞かれれば、やはり黒澤明の映画ですね。あとは涙があふれる家族愛ものも好きです。ダメなのはホラーやスリラー。首が飛んだりとかの映画はだめですね(笑)。



★杉並アニメーションミュージアムに行こう!
展示コーナーでは、日本のアニメの歴史やアニメ制作工程の紹介、フィルムが登場する前の「動画鑑賞装置」も再現。他にもデジタルアニメや吹替の体験コーナー、シアター、ライブラリーなど充実のミュージアム。家族揃って出かけてみよう!

(交通)JR中央線・地下鉄丸ノ内線「荻窪」駅北区0・1番バス乗り場より関東バスで5分。
「荻窪警察署前」下車。徒歩1分。

(ホームページ)

http://www.sam.or.jp/