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都市の設計とセキュリティ

久保田
 米国では都市の設計にCPTED(環境設計による犯罪防止)という考えを取り入れていますが、日本でも都市計画にセキュリティの思想・要素を取り入れるようになって来ています。杉並区でも何かお考えはありますでしょうか?


山田 今のところはありませんが、9月末から10月末にかけて、区道を含めた区の諸施設を安全面で問題がないかということを一斉調査を行いました。その結果次第で、道路を作る、駐車場を造る、少ないですが再開発をするという場所、公園などを作るときに、防犯・安全というセキュリティという面での発想は検証の中から出てきて、次に作るときに反映されるでしょう。


久保田 犯罪件数の増加原因にもなっている外国人の犯罪は杉並区ではどうですか?


山田 住宅地なので、あまり大きな繁華街はありませんし、そういうものは少ないです。が、特に中国人の犯罪は警察から報告されています。窃盗団ですね、ピッキングやサムターン回し、鍵を壊したりする、荒っぽいものは中国系の犯罪だと警察から聞いています。


久保田 どこでも同じですね。セキュリティに関して、区長が一番PRしたいということはありますか。


山田 大事なのは、防犯ということでのコミュニティの再生が必要に迫られていることです。監視カメラで全部やるのか、コミュニティの再生を意識するのかは、ニーズの背反ではないのですが、自分がエネルギーを掛けて地域の行事に参加してほしいのです。それが杉並のコミュニティだということです。

杉並に住むということは単に地域を無視して住むのではなく、子どもたちのプロジェクトに参加するとか学校に顔を出すとか、地域のクリーン大作戦で2時間くらい汗を流すとか、何でもいいからコミュニティに、年間の自分の労力の5%くらいは割きましょうということです。いろんな地域のバージョンで5%ルールが生まれて行く事を促進したいです。

そういうことが、ひいては地域というものに関心を持つという人たちによるコミュニティができてくれば、たくさんのカメラに依存しなくても犯罪は減っていくと思いますし、それが一番、人間の社会として良いと思います。


 安全だけど全部見られている、隠れる場所もない社会が本当にいいのかということです。丸裸にされて見られるということを皆が求めるのか、面白味のない街に誰が住みたがるのか。路地があって行き止まりがあったりするところに人間は安心感を持つのです。お金も一緒で、ヘソクリが全部見つかってしまうような世の中が本当に健全なのか。

アメリカは、安全の為に全部丸裸にされるほうに流れていますが、すごく危険だと思います。そうではなくて、地域の目、地域の口、地域の耳、地域の人間というものが大事だねとみんなで言い合えるような街が良く、ぐちゃぐちゃしてない、誰かが監視しろというようなものになればなるほど住みにくくなると思います。地域の目、地域の口、地域の耳というものをお互いが、みんなが気にしているという適度なものが良いです。

一朝一夕ではできないことですが、みんなが地域のことに関心を持つことがいいと気づいてきたので、それを助成していきたいと思います。


セキュリティとコミュニティと教育問題


久保田 セキュリティを問い詰めて行くと、教育問題に突き当たるんですよね。


山田 今の犯罪を見ると教育にいろんな原因があると思います。きちんとした「何が正しいか」を教える規範教育がされていない。規範意識が希薄で欠けていて、目的の為には人を殺してもいいということになっています。

まず家庭の問題です。規範教育というものを親がやらなければいけないのです。そして、学校や地域社会が担って、小さいうちに徹底していくというコンセンサスが必要だと思います。

もう一つは子どもが同学年でずっと同じグループでいきますが、2年生から6年生までが一緒に学んでいくという教室があれば、お兄さんはお兄さんらしくなります。低学年の子どもたちはそれを見習って自分もやります。年齢の違いというものが今の子どもたちは分からず、先輩も後輩もない中で生きている。異年齢であれば、手を貸したりやってあげたり、いじめがあっても止めたり、守る人も出てくる。そういうことを小さい頃に全く経験せずに大学までいく。そういうものが大きな意味で、日本の治安、犯さなくてもいい犯罪に繋がっていると思います。親の教育は頭が固くなっていますからほとんど無理です。20歳以上は自分で気付くしかないです。

子どもには、学校だけじゃなくて、地域が学校に関心を持って、地域の子どもとしての異年齢の教育、規範教育というものにみんなで取り組んでいくという場所が増えていく必要があります。


 今までは経済中心で、いくら稼ぐか利益をあげるかでした。学校教育もそういう意識で、経済発展のために人材を作るということでした。しかし経済も、人間の心が荒んでいたら元も子もありません。区政のいろんな仕事をしていますが、全ての道が教育に繋がっているという意識で政治をやって、それぞれの政策の教育的価値という発想をいつも入れていかないと、教育というものをもう一度打ち立てることは難しいと思います。


久保田 セキュリティも設備の設置と同時に教育も考えなければなりませんね。


山田 監視カメラも防犯カメラも、使う人間の意識によって悪用されたり善用されたりしますよね。カメラ自身には罪はなくて、結局使う人間の問題ということになります。


久保田 本日はお忙しい中ありがとうございました。



出展:「月刊セキュリティ12月号」特別インタビュー