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 第一話 「おりがみ賞状」


 

 私は、つくづく学校の先生に恵まれていたと思う。

 八王子市立第5小学校の1年の担任だった大房和子先生(女性)、2年の安藤富夫先生(男性)、長崎市立西浦上小学校の4年の志田ハルミ先生(女性)、山口市立湯田小学校の5、6年の藤野武士先生(男性)、山口大学付属中学校の時の田中清久先生と田中健二先生(男性)、京都大学法学部のゼミの先生であった高坂正尭教授(故人)。そして、政経塾時代の松下幸之助さんをはじめ各界の方々。

 その中で、とりわけ小学2年の時の担任だった安藤先生のクラスにいたことは、私の人生にとって大きな意味があった。

 安藤先生の特色は、「おりがみ賞状」による教育だ。先生は、それぞれの児童の褒めるところを見つけては、気付いたらすぐ、おりがみを3分の1に切ったものに「あいさつ賞」とか「くふう賞」とか「しんせつ賞」とか「努力賞」など、いろんな賞を考え出しては、それをマジックペンでさっと書いて、「おい、山田ちょっと来い」とか言って、その賞を配るのだ。例えば「あいさつ賞 今日は給食のおばさんに大きな声で『ごちそうさま』と言えました」と書いて、「安藤」というハンコを押してくれるのだ。我々子供たちも、その「おりがみ賞状」が何枚貯まったかを競い合ったものだった。

 いま考えると、すごいことだったと思う。全ての子供に目を配り、いいところ、ほめるところを、先生はいつも探していたのだ。どんな小さなことでもいい、それを見つけ出したその時に、「おりがみ賞状」をみんなの前で授与するのだ。

 時に叱ることもあって決して優しい先生というわけではなかったが、子供たちの「おりがみ賞状」受賞競争で、私も含めたくさんの子供たちが善導されていったのではないかと、いましみじみと思い出される。

 わたしは、いまでもその53枚の「おりがみ賞状」を人生の宝として大切にしている。「昭和40年 安藤」とのハンコは、38年たった今もなぜか鮮明である。