3月24日東京地裁で、杉並区が国と都を相手どって提訴した「住基ネット訴訟」の判決がありました。結果は「国と都は、横浜に国が認めた段階的参加方式(横浜方式)を杉並区にも認めよ」という内容の訴えに対し、「『横浜方式』も違法。だから認められない」という趣旨で、杉並区の訴えを退け、杉並区の敗訴となりました。
この訴訟にかける思いについては、一昨年このコーナーで書きましたから、ご関心のある方はそれを読んでいただきたいのですが、(「住基ネット訴訟を提起する理由」)今回の判決については、私は一言で言って「法律の一部の条文を表面的、一面的に解釈しただけの、極めて薄っぺらな判決」だと思います(判決文全文は杉並区のホームページをご覧ください)。
まず国や都の言い分をそのまま追認しているだけで、住民や基礎的自治体からの観点が完全に欠落しています。また住基ネットの利便性のみで一方的に判断していて、名寄せやデーターマッチングなど住基ネットのはらむ潜在的な危険についての認識が全く欠如しています。さらに国や県などが合意した『横浜方式』を違法とする論拠は表面的で、ならば国や県は違法な行為を堂々と行ったことになるではないか。などなど、到底受け入れられる内容の判決ではありません。
もしこの判決を受け入れ控訴を断念したら、区や市など基礎的自治体の固有の事務「自治事務」とされている住民基本台帳事務の進め方に対して、自治の理念に反した住基法の間違った解釈が公認され、憲法で認められるプライバシー権や地方自治への重大な影響が及ぶことになることも危惧しています。
医療の世界でも、最近『セカンドオピニオン』ということが普通になりました。ある医師が「癌でない」と診断しても、「いや、やはり不安」と思えば別の医師の判断を仰ぐことです。そしてそれによって多くの患者が救われています。今回の判決は判決としても、私は健全なIT社会を築くためにも、また地方自治を確立するためにも、司法における『セカンドオピニオン』を求めてみるべき重要な内容であると考えています。