山田宏のニュースリリース
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八重山日報 9/3掲載コラム
2015.09.07
  • 【八重山日報 9/3掲載コラム
       『反安保法制の空想論は平和足かせに』】
    月に一回、沖縄・八重山日報にコラムを掲載しています。
    八重山日報さんのご了承を得て、転載いたします。
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    安保法制への反対が続いています。
    この8月30日にも「戦争させない・9条壊すな! 総がかり行動実行委員会」が主宰した国会デモ(参加者数:主催者発表12万人、警察発表約3万3千人)が行なわれました。
    「説明不足だ」「憲法の破壊だ」という声から、「戦争をしたがっている」「徴兵制に結びつく」などのありもしないようなデマまで、様々な言説が飛び交っています。
     説明不足と受け取られているのは、「なぜいま、安保法制なのか」ということを安倍政権がうまく説明できていないからなのでしょう。
    現実に、今、中国は領土的野心を顕わにし、南シナ海、東シナ海、さらに中国の周辺諸国にとって脅威になっています。
    しかし安倍政権は「平和が脅威に直面している。中国は脅威だ」とはっきりとはいえません。
    そういえば、「日本が挑発している」と中国に口実を与えてしまいかねないからです。
    これが安保法制をめぐる議論をわかりづらくしているのです。
     私は最近、ベトナムやフィリピンに足を運びましたが、両国共に、日本の今般の安保法制に大きな期待をかけているのが、とても印象的でした。
     ベトナム外務省の担当官からは、こんな話を聞きました。
    「本当は日本と軍事同盟を結びたい。ベトナムでは、まだベトナム戦争の記憶も生々しく、アメリカ軍と同盟を結ぶことはできないが、アメリカと同盟している日本とは同盟したいし、自衛隊に助けて欲しい。それが難しいのだとしたら、少なくともアメリカと協力してやってほしい」
     この発言を聞いて私が思い浮かべたのは、中国の春秋戦国時代の末期に秦の始皇帝によって滅ぼされた斉の国の故事です。
     斉は、山東半島を中心とした大国でした。
    その斉がなぜ滅びたのか。司馬遷は『史記』に次のようなことを書いています。
    当時、強勢を誇る秦の始皇帝は、韓、趙、魏、楚、燕と周辺諸国を各個撃破し、次々に滅ぼしていました。
    それぞれの国は斉に救援を求めます。
    しかし、斉は非同盟・中立・軽武装という方針を貫き、それらの国々に援軍を送ることはありませんでした。
    そして各国が滅びていく中、斉は四〇年間にわたる平和を享受します。次第に斉の人々は、非同盟・中立・軽武装の方針のおかげで平和がもたらされているのだと信じるようになっていきました。
     しかし、斉を平和ボケにしておくことこそ秦の狙いでした。
    中国大陸の西に位置する秦からすれば、斉は中国大陸の一番東の端ですから当面の敵ではありません。
    秦は斉の政策ブレーンなどに賄賂を送り、非同盟中立路線を続けさせる努力を重ねました。
    そうしておいて秦は、斉の隣国である燕を滅ぼすと、一国だけ残った斉に一気に攻め込んだのです。
    斉はろくな抵抗もできないまま、あっという間に滅ぼされてしまいました。
     あっけなく滅ぼされた斉の姿を見て思うのは、リアリズムの大切さであり、力と力のバランスが崩れることの怖さです。
     翻って現代の日本のことを考えると、背筋が寒くなるような気がします。西太平洋地域のパワーバランスが大きく崩れつつあるときに、日本がどれだけ支えられるか。
    今、現実に目の前にある脅威に対して各国が協調して対抗しなければいけないのに、日本が「戦争ができる国にならない」などという空想論をふりかざしていたら、むしろ東アジアの平和の足枷となり、斉の二の舞になりかねません。
     このような故事ばかりではありません。
    理論的にも集団的自衛権や同盟政策こそが平和への確率を上げるという面白いデータを髙橋洋一氏が紹介しています。
    ブルース・ラセットとジョン・オニールが2001年に出版した “Triangulating Peace”という本によれば、「①きちんとした同盟関係をむすぶことで40%、②相対的な軍事力が一定割合(標準偏差分、以下同じ)増すことで36%、③民主主義の程度が一定割合増すことで33%、④経済的依存関係が一定割合増加することで43%、⑤国際的組織加入が一定割合増加することで24%、それぞれ戦争のリスクを減少させる」というのです。
     さらに髙橋氏は「集団的自衛権の行使は、①戦争のリスクを減少させること(最大40%程度減)、②防衛費が安上がりになること(自前防衛より75%程度減)、③個別的自衛権の行使より抑制的(戦後の西ドイツの例)から望ましい」というデータも紹介しています(Web現代ビジネス「高橋洋一『ニュースの深層』」講談社http://gendai.ismedia.jp/category/news_takahashi)。
     周辺諸国の声に耳を傾けても、歴史に学んでも、データを検討しても、私にはどうしても、今回の安保法制が日本にとって悪いものとは考えられません。
    一方、反対派の主張はあまり論理的ではない情緒論でしかなく、ただ夢想的な熱気だけを煽るバブルのような議論であるように聞えます。
    冷静に考えるならば、どの道を選ぶべきか、答えは自ずと明らかではないでしょうか。
     

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