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ロシア訪問記(PART1)〜「危うい繁栄」
2012.11.05

10月31日から11月4日までロシアのモスクワを訪問してきた。

訪問の目的は、ロシアの政治家、外交官、そして日本研究者やジャーナリストと、今後の日露関係について意見交換をすることだったが、有意義な訪問であった。

 

 実は、私は1990年のソ連崩壊直前に、長年北方領土問題に取り組まれた故末次一郎先生にご同行させていただいた以来、21年ぶり二回目のモスクワだったが、ポンコツの国産車がボロボロの街を走っていたあの頃の姿は、多くの外国車が慢性渋滞を起こしているこぎれいな街に変身していた。

 

 

 

モスクワの大渋滞は、世界的に有名だ。毎日、何時に目的地に着くか予想ができない渋滞でも、自家用車があれば郊外から数時間かけて通勤してくるそうだ。地下鉄でも使えばいいのに、使わない人も多いと言う。車でゆっくり出勤して、早めに退社するというのが、一般的な勤務形態らしい。そこには「時は金なり」というビジネス感覚はあまり感じられない。

 またいくつかの店で買い物をしたが、店員の無愛想は相変わらずで、「お客様大事」という意識は薄いように思えた。

 

 要は、まだかつての社会主義的な思考から脱し得ていないのかもしれない。それにもかかわらず、2000年代の世界的な好景気が、「産油国」であるロシアの収入を飛躍的に増加させたために、国民が自らの創意工夫に基づく勤労努力で富を得たというよりも、原油や天然ガスの輸出で転がり込んだ「あぶく銭」が、このロシアの繁栄をもたらしてきたようだ。つまり今の姿は、世界経済の落ち込みとともに崩れてしまいかねない「危うい繁栄」のように感じられた。

 

 他方、長年の事実上のプーチン一極支配によって、政治の腐敗や汚職も広がっている。最近では、ロシア国防省女性局長による国有地売却にからむ汚職事件の捜査で、その女性宅に警察が踏み込んだら国防大臣がガウンで出てきたなどというスキャンダルが賑わわしているし、また詐欺で巨万の金を稼いだ3人組の手法は、無差別に地方の知事や市長たちに対して、警察を名乗り「貴職の汚職の情報提供がある。握りつぶしてほしければ入金しろ」というメールを送りつけてみたところ、かなりの政治家から振込があったという「ロシア版・振り込め詐欺」なのだ。

 

 しかし、心あるロシアの指導者たちも、それらの「成り金」的な「危うい繁栄」を克服するために、原油や天然ガスや木材などの一次産品の供給国の地位から、それらを加工して付加価値の高い製品として収入が得られるような国に変わるべきと考えているのも確かだ。

 

 特に、これからの繁栄が予想されるアジア太平洋地域向けて軸足を移し、極東開発に力を向けようとしており、今年9月にロシアをホスト国として開催されたAPEC(アジア太平洋経済会議)が極東のウラジオストクで開かれ、「ヨーロッパの国・ロシア」から「アジア太平洋の国・ロシア」への変身を強くアピールした。そしてロシアの熱い視線は、日本の高い技術力、中国の市場、そして東南アジアからインドの繁栄まで目を向ける。

 

 だが、日本との経済・技術協力は「北方領土問題」という「とげ」が刺さったままで、本格的に力強い関係が深まるというところまでいっていないし、ロシアの減り続ける極東人口600万人に対して、国境を接する中国東北地方の人口は1億人と、極東ロシアへの中国人労働力の人口流入に神経をとがらしており、ロシアの思い通りにはいかない状況だ。

 

 また昨今の尖閣諸島を巡る日中対立にも大きな関心を寄せており、ロシアとしては、何としても大きな紛争となることだけは回避させたいと考えている。そのため中国の友好国という立場でありながらも、日本を刺激することを避け、中国側が「釣魚島」と中国名を使うことを要請しても、今のところロシアは公式に「センカク」を使用しているなど自制的だ。

 

 その一方で中国と日本を天秤にかけて、その経済関係づくりにあたっては、ロシアにとってよりよい条件を飲ませようとしていることも否めない。

 

 次回は、日露関係をどうしていくべきかを述べてみたい。

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